シリコンバレー銀行がなぜ経営破綻したのか、その結果どうなったのか、そしてどう対処されているのか

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シリコンバレー銀行経営破綻

しかし、2023年3月10日、SVBは経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入った234。これは2008年9月15日以来となる米国内で最大規模の金融機関の倒産である4

SVBが経営危機に陥った背景には、インフレ圧力を抑えるために米連邦準備理事会(FRB)が利上げを加速させたことがある5。このことでSVBが保有する債券やローンなどの資産価値が下落し、資本比率が低下した。また、SVBが主要顧客としていたテック企業も利上げや規制強化などで業況が悪化し、多くが倒産や買収された1

さらに、SVBの健全性への不安から顧客や投資家が資金引き出しや株式売却を相次いだことも打撃となった41。2023年2月28日から3月10日までに約300億ドル(約33兆円)相当の預金流出や株価暴落が発生し16 、増資計画も不首尾に終わったことで事実上倒産した234

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シリコンバレー銀行の破綻が米国や世界の金融市場に及ぼした影響

SVBの破綻は米国だけでなく世界中に衝撃を与えた。特に日本経済は大きな影響を受けた。その理由は以下の通りである。

  • SVBは日本企業やベンチャーキャピタルとも深い関係を持っており、SVBの破綻により日本からの融資や投資が減少する恐れがある。また、SVBと取引していた日本企業も回収不能になる債権や株式の損失を被る可能性がある。
  • SVBはシリコンバレーのテックエコシステムの中核的な役割を果たしており、SVBの破綻によりシリコンバレーのイノベーションが衰退する恐れがある。これは日本経済にとってもマイナスである。なぜなら、日本はシリコンバレーから多くの技術や人材を輸入しており、その供給源が枯渇することで競争力や成長力が低下するからである。
  • SVBの破綻は米国内外の金融市場に不安を広げた。特に米国では金利上昇や株価下落が加速し 、金融危機の再来を懸念する声が高まった。これは日本経済にとってもマイナスである。なぜなら、日本は米国と密接な貿易や投資関係にあり、米国経済の減速や金融不安定化は日本経済にも波及するからである。

 

シリコンバレー銀行の破綻に対する金融当局や他の銀行の対応

以上のように、SVBの破綻は日本経済に大きな影響を及ぼす可能性が高い。この事態に対応するために、金融当局や他の銀行は以下のような対策を取っている。

  • 金融当局はSVBと取引していた銀行や企業への支援策を検討している。例えば、FDICはSVBから預金保険制度を通じて預金者へ返還されなかった資金を補償することを発表した 。また、FRBはSVB以外の銀行へ流動性供給窓口(ディスカウント・ウィンドウ)を通じて資金提供することを表明した
  • 金融当局はSVB以外の銀行へ流動性供給窓口(ディスカウント・ウィンドウ)を通じて資金提供することを表明した。また、日本銀行はSVBと取引していた日本の銀行や企業に対して円資金の供給や緊急融資などの支援策を実施することを発表した。
  • 他の銀行はSVBの顧客や債権者に対して引き受けや買収などのオファーを出している。例えば、米国最大手のJPモルガン・チェースはSVBが保有するテック関連ローンや投資ポートフォリオの一部を買収することで合意した。また、日本最大手の三菱UFJフィナンシャルグループはSVBが展開していた日本市場におけるテック関連事業の一部を引き継ぐことで交渉中であると報じられた。

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